ISO27001取得が大変だと感じる企業必見!運用の負担を少しでも減らす方法とは?
- 【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
- 3月16日
- 読了時間: 12分

▼ 目次
1. はじめに
1.1. 記事の目的と想定読者
本記事では、ISO27001(ISMS認証)の取得を「大変そう」と感じている企業向けに、導入コスト・期間・運用負担をなるべく減らすための方法をわかりやすく解説します。
想定読者:
初めてISO27001の導入を検討している経営者・情報システム部・総務部担当者
すでに取得した企業から「運用が大変」と聞いて不安になっている方
内部監査や文書作成に手間がかかりそうで尻込みしている方
1.2. なぜISO27001取得が「大変」と思われがちなのか
文書化や手順書作成などの事前準備が多い
内部監査や年次審査で運用負担がかかりそう
コストや導入期間が読めず、「本当にペイするの?」という疑問がある
1.3. 本記事で得られるメリット(費用・期間・運用負担の削減方法など)
費用: どこにお金がかかるか、どうすれば抑えられるか
期間: 導入~認証取得まで最短どれぐらい? 時間短縮のコツは?
運用負担: 文書や内部監査をいかに楽に回すか、具体的なノウハウ
2. ISO27001とは?基本概要をおさらい
2.1. 情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格
ISO27001: 情報資産(顧客データ、社員情報、機密文書など)を守るための国際規格。
狙い: 機密性・完全性・可用性を確保し、セキュリティ事故を防いだり被害を最小化したりする仕組みを整える。
2.2. PDCAサイクルとリスクアセスメントの重要性
Plan: リスクアセスメントを行い、管理策を計画
Do: 文書化されたルールで社員が運用
Check: 内部監査と外部審査で確認し、改善点を洗い出す
Act: 改善を実行し、次のPlanに活かす
2.3. 適用範囲や附属書Aとの関連:どこまで管理策を適用するか
適用範囲: 会社全体、特定拠点、特定業務など選べる。広すぎると負担増、狭すぎると守り不足
附属書A: ISO27001で示される管理策(セキュリティ施策)の一覧。リスク評価に基づき必要なものを選ぶ
3. 企業が「大変」と感じる主な理由
3.1. 文書作成・リスク評価などの導入時の工数
導入初期: 規程や手順書を整備する必要があり、担当者が兼務だと時間不足に陥りやすい
コンサル経験: 文書作成テンプレを使わずイチから作ろうとすると、数百ページにもなるケースあり
3.2. 内部監査や年次サーベイランスなどの維持コスト
内部監査: 年1回以上行い、監査報告書を作成→ 運用負担大
外部審査: 毎年または半年ごとにサーベイランス審査。3年ごとに更新審査→ 費用が継続的にかかる
3.3. 社員教育・意識改革にかかる時間と手間
意識改革: 「パスワードを定期変更しよう」「机の上をきちんと片付けよう」など、社員の日常行動を変える必要
現場の声: 「新しいルールが増えて面倒」「監査員が確認しに来るのがストレス」と言われがち
3.4. 他社事例:導入に1年以上かかった企業の苦労ポイント
事例: 大手製造業B社が全社スコープで開始→ 文書作り&部門調整だけで1年超→ ステージ2審査にようやく合格
結論: 範囲を絞って段階的に導入すればもっと楽だったとの声が多い
4. 導入費用の内訳と抑えるコツ
4.1. 初期費用:審査費用、コンサル費用、文書整備費用の概算
審査費用: ステージ1・ステージ2合計で数十万~100万円台(企業規模や適用範囲により)
コンサル費用: 短期導入なら50万円~200万円程度が目安。大手の場合はさらに高額
文書整備費用: 社内リソース(時間)+外注(ライターや翻訳など)も発生する場合あり
4.2. 維持費用:毎年のサーベイランス審査、内部監査、教育コスト
年次審査費: 年に1回、サーベイランス審査があり数十万円程度かかることが多い
内部監査工数: 社員の作業時間。初心者が担当すると学習コストも追加
教育コスト: eラーニングやセミナー受講費、人件費など
4.3. コスト削減のポイント
4.3.1. 文書テンプレート活用・既存規程との統合
テンプレート: 無料or有料のISO27001文書ひな形を活用すれば、作業時間大幅減
既存規程: 会社の就業規則や情報管理ルールをうまく取り込み、重複を削除
4.3.2. 補助金・自治体支援策の活用
経産省や自治体: 中小企業向けのセキュリティ対策補助が出る場合がある
実例: 「IT導入補助金」「ものづくり補助金」でコンサル費やツール導入費が支援されるケース
4.3.3. コンサルを部分利用し、社内リソースと両立
フルコンサル: 高額になりやすい→ 必要部分だけサポートを受ける
例: リスクアセスメントと内部監査手順書だけコンサルに頼み、その他は社内で行う
5. 導入期間・審査スケジュールを短縮する方法
5.1. ステージ1審査とステージ2審査の違いとポイント
ステージ1(文書審査): ISMS文書やリスク評価に抜けがないか確認→ 不備を修正できる期間がある
ステージ2(現場審査): 運用実態を見て「文書通りに運用されているか」を評価→ 合格すれば認証取得
5.2. リスクアセスメントを効率化するステップ
簡易スコアリング: 影響度×発生可能性でH/M/Lの3段階にし、優先度決定
テンプレ活用: Excelやクラウドツールでリスクを一覧管理し、更新しやすくする
コンサル経験: ここを複雑にしすぎると時間ばかりかかる→ まずは最小限の評価方法でもOK
5.3. 短期導入の秘訣
5.3.1. プロジェクトチームの編成と責任分担
専任リーダー: 経営層のバックアップを得て、各部署と調整
責任分散: IT、総務、人事など複数部門が関与→ 週1回の定例ミーティングで進捗確認
5.3.2. クラウドツールや管理ソフトの活用
例: 文書管理システムで版管理、内部監査ツールでチェックリストを共有
効果: 更新履歴やタスク管理がスムーズになり、重複作業を削減
5.3.3. 段階的スコープ設定で短期合格を目指す
例: まずは本社+主要システムだけ→ 3か月でステージ2審査合格→ 1年後拡大
メリット: 最小限で成功→ ノウハウ蓄積後に全社展開
6. 運用負担を減らす仕組みづくり
6.1. 文書の過剰作成を避ける:シンプルな規程で運用可能に
注意: 文書を細かくしすぎると現場が把握しづらく、監査工数も増える
コンサル談: 既存ルールと融合し「これなら守れる」レベルに落とし込むと負担減
6.2. 内部監査と日常業務の統合:監査チェックリストで業務見直し
方法: 監査チェックリストを普段の業務チェックにも利用→ 週次や月次の点検に組み込む
メリット: 定常的に文書やルールを守れているか確認でき、不備を早期に発見
6.3. 社員教育を効率化:eラーニングやショートセミナーの導入
事例: eラーニングでセキュリティ基礎講座を年1回受講必須→ 受講ログで把握
効果: 集合研修を減らし、社員が空いた時間で学習→ 時間とコストを抑制
6.4. コンサル視点:ルールを最小限に絞り、現場が運用しやすい形を意識する
教訓: 「とにかく全部書く」という発想はNG→ 実際に守れる量にしないと形骸化し審査で不適合の原因に
7. 実際にどれぐらい大変?導入プロセスと事例解説
7.1. 導入プロセス例
7.1.1. リスク評価・適用範囲の決定
まずはここ: どの拠点・部門を含めるか? 守るべき情報資産は何か?
小さく始める: 負担を減らし、成功体験を得やすい
7.1.2. 文書化・ISMS整備
規程や手順書: 情報セキュリティポリシー、管理策、インシデント対応手順など
テンプレ: コンサルや業界団体が出しているテンプレをカスタマイズするのがおすすめ
7.1.3. 内部監査と是正処置
内部監査: 不適合・観察事項を抽出→ 修正案を提案
効果: 外部審査前に弱点を潰せる
7.1.4. ステージ1・2審査
ステージ1: 文書審査・ギャップ確認
ステージ2: 実地審査(インタビュー、記録チェック)→ 合格で認証書発行
7.2. 他社事例:IT企業A社が半年で取得した成功ストーリー
背景: 大手取引先から「ISO27001必須」と言われ焦る
アプローチ: 導入スコープをクラウドサービス部門に絞り、コンサルと短期導入
結果: 6か月でステージ2審査合格→ 新規取引がスムーズに決定
7.3. 製造業B社が1年以上かけて苦労しつつも審査合格したケース
問題点: 全拠点を一度に含め、文書整備が膨大に
工夫: 途中から範囲を少し絞り、残りは2年目以降に追加
教訓: いきなり全社スコープは負担大。段階的拡張が吉
8. よくある失敗例と対策
8.1. 大きすぎる適用範囲 → 運用負荷が限界に
失敗例: 「全社で一気にやろう」と決定→ 部門間調整や内部監査が膨大
対策: リスクの高い領域を優先し、後から拡大する
8.2. 全てを外部コンサルに丸投げ → 社内にノウハウが残らず運用形骸化
原因: コンサルが文書を書きまくって、社員が中身を把握していない
解決: 社員がリードしつつ、コンサルはアドバイザー的に活用 → 運用にノウハウが残る
8.3. 内部監査のスキル不足 → 審査で不適合連発
例: 監査員が規格を理解しておらず、表面的な質問だけ
対策: 監査員研修、OJT、フィードバックループを整備
8.4. 対策:小さく始める、コンサルの部分利用、継続的研修の実施
小さく始める: 範囲や管理策を絞る
部分利用: 全て頼むと費用爆増→ 必要部分だけコンサルに
研修: 社員への定期トレーニングでスキルをアップし、長期的な負担を減らす
9. 効果的なツール・サービス活用例
9.1. 文書管理システムやクラウドサービスで改定履歴を追う
メリット: 複数人で規程の更新履歴を可視化し、レビュープロセスをスムーズに
事例: Google WorkspaceやSharePointで共同編集→ 監査対応が一元化
9.2. リスクアセスメント支援ツール:テンプレートや自動評価機能
機能: 影響度×発生可能性のスコアリングや管理策提案
効果: エクセルよりも安全でわかりやすいUI、入力ミス減少
9.3. eラーニングプラットフォームで社員教育を効率化
事例: 月1回5分のセキュリティクイズを全社員が受講→ 意識向上+ログが残り、監査でも証拠に
効果: 集合研修が不要になり、リモートワークでも教育が進む
9.4. コンサル活用:短期導入、内部監査サポート、ステージ2審査前の模擬監査
短期導入: リスク評価と文書テンプレ提供など、集中的に指導→ 3~6か月で審査合格を狙う
模擬監査: 外部のプロが実地チェック→ 不備を修正→ 本審査で不適合を最小化
10. 取得後のメリット:大変さを超える効果とは?
10.1. 顧客・取引先からの信頼度UP(入札・商談時に有利)
具体例: 「セキュリティ認証を持っていない企業は入札不可」という条件もある
結論: ISO27001ロゴを提示するだけで企業イメージが向上し、商談成立率が上がるケース多い
10.2. セキュリティ意識の向上→ 情報漏えいリスクの低減
効果: 社員がパスワード管理やファイル共有を慎重に行う→ 実際の事故件数が減る
事例: IT企業A社でインシデントが年5件→ 認証取得後は年1件に。顧客満足度向上
10.3. 社内ルールの標準化→ 業務効率や品質向上にも貢献
プロセス改善: 文書化された手順に沿うため、ヒューマンエラーが減少
コンサル談: 「セキュリティルールと品質管理がリンクし、結果的に業務効率が上がる」パターンもある
10.4. 他社事例:ISO27001認証で大手企業との取引が一気に拡大
事例: あるスタートアップがISO27001を取得→ 企業信用が増し、大手からの引き合いが増えた
理由: 大手はリスク低減を重視→ 認証あり企業を優先検討
11. Q&A:ISO27001取得に関するよくある疑問
11.1. 「コンサルなしでも取得は可能?費用はどれぐらい変わる?」
回答: 可能だが、文書整備やリスク評価に慣れていないと時間や人件費が膨大になる
目安: コンサルなし→ 社内担当者が数か月~1年以上かかる。コンサルあり→ 3~6か月で取得例が多い
11.2. 「運用負担を小さくするには、範囲を狭くするしかないの?」
回答: 範囲を小さくすると負担は減るが、リスク管理が不十分になる恐れ。
提案: 重要部署・システムだけ最初に導入→ 実績を積んでから段階拡大が現実的
11.3. 「内部監査員の資格は必要?研修はどうすればいい?」
回答: 規格上「資格必須」ではないが、研修やリードオーディターコースを受けると理解が深まり不適合を見つけやすい
推奨: 社内研修+OJTで監査スキル向上、コンサルの内部監査支援を利用する企業も多い
11.4. 「クラウドサービス利用時はどう対応する?附属書Aでカバーできる?」
回答: クラウドリソースもISMS範囲に含め、契約やセキュリティ責任分担を明確化。
コンサル視点: 附属書Aにもクラウド管理策や外部委託先管理の項目があり、そこを徹底する
12. まとめ:ISO27001取得が大変だと感じる企業必見!費用・期間・運用負担を減らす方法とは?
12.1. 記事の総括:短期導入、費用削減、運用効率化のポイント
費用面: テンプレ活用・部分コンサル・補助金で削減
期間短縮: 範囲を適度に絞り、プロジェクト体制を強化
運用負担軽減: 文書最小化、内部監査の効率化、eラーニングなどで社内への浸透をスムーズに
12.2. 導入の第一歩:リスク評価を丁寧に、文書を最小限で始める
リスク評価が導入の土台→ 本当に守るべき情報を選別
文書最小化: フローや規程をシンプルに保ち、現場が運用しやすい形を目指す
12.3. 最終メッセージ:正しいステップと外部支援で“本当は大変じゃない”ISMS導入が可能
本音: ISO27001導入には確かに手間があるが、適切な方法をとれば3~6か月程度で取得でき、認証後のメリットは大きい
行動: ぜひ本記事を参考に、無理なく計画を立て、必要に応じてコンサル活用しつつ、ISMS認証取得にトライしてみましょう
おわりに
ISO27001取得が「大変」と感じられる背景には、文書整備・審査費用・内部監査の負荷など多くの要因があります。しかし、スコープを適切に設定したり、文書をシンプル化して段階的に導入すれば、費用・期間・運用負担を大幅に減らすことは可能です。
まとめ: 導入前のリスク評価と社内合意、外部リソースの賢い活用が成功のカギ。
最終メッセージ: ISO27001認証は企業のセキュリティレベルや信用度を飛躍的に高める投資。正しいステップで取り組めば、「実はそれほど大変じゃない」導入も実現できます。ぜひチャレンジしてみてください。
この記事の監修者情報
金光壮太 (ISOコンサルタント)
大手商社にて営業を経験した後、ISOコンサルティングに従事。ISO9001、14001、27001を中心に、各業界の課題や特性に応じたシステム構築や運用支援を行い、企業の業務効率化や信頼性向上に貢献。製造業や建設業など、多岐にわたる業界での豊富な経験を活かし、お客様のニーズに応じた柔軟なソリューションの提案を得意としている
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