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【2025年最新】ISMSリスクアセスメントのやり方:実例付きでリスク評価と対策を完全ガイド

執筆者の写真: 【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)

ISMSリスクアセスメントを実例付きでわかりやすく!2025年以降のリスク評価とISO27001対策を徹底ガイドし、セキュリティ強化と業務効率を同時に実現

▼ 目次


ISMSリスクアセスメントを実例付きでわかりやすく!2025年以降のリスク評価とISO27001対策を徹底ガイドし、セキュリティ強化と業務効率を同時に実現

1. はじめに:昨今ISMSリスクアセスメントが注目される背景

1.1 ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)とリスクアセスメントの関係

ISMS(Information Security Management System)は、組織が保有する情報資産を体系的に保護するためのマネジメントシステムです。ISO27001ではこのISMSを構築・運用する際の要求事項を定めています。

  • リスクアセスメントは、ISMSの要として、「情報資産への脅威や脆弱性を評価→対策を優先度高く実施→継続的に運用」するプロセスを指します。

  • PDCAサイクル: ISMSは計画(Plan)→実行(Do)→監査(Check)→改善(Act)を回す管理手法ですが、その初期フェーズで欠かせないのがリスクアセスメントです。

1.2 なぜ今リスクアセスメントが重要?DX時代のサイバー脅威と規制強化

  • DXの加速: クラウドやリモートワーク普及により、サイバー攻撃のリスクが飛躍的に増加。情報漏えい被害やランサムウェア攻撃などが高まり、企業のセキュリティ対策が不可欠。

  • 法規制の厳格化: 個人情報保護法やGDPRなど、情報保護に関わる規制が国内外で強化。万が一の漏えい時に高額な賠償金が発生する可能性も。

  • コンサル経験談: 新型コロナ以降のリモートワーク急増に伴い、拠点がバラバラになった企業がリスクを統合管理できず混乱し、リスクアセスメントからやり直すケースが多く見受けられます。

1.3 本記事の狙い:最新動向と具体事例を踏まえた、実務的な完全ガイド

本記事では、2025年最新版として、次のような情報を体系的にまとめます。

  1. リスクアセスメントの基本から実践まで: 初めて担当する方でも理解しやすい手順。

  2. 企業事例や成功パターン: 他社がどうリスク評価を行い、どう対策を選んだか。

審査(第三者審査・内部監査)合格に向けたポイント: 不適合を回避するための具体的対策やヒント。

読めばすぐにリスクアセスメントに着手できるよう、テンプレ的なフローと注意点をわかりやすく解説します。


 

2. リスクアセスメントの基本概要:どんな効果があるのか

2.1 リスクアセスメントとは?発生可能性×影響度で危機を可視化

リスクアセスメントでは、情報資産(例えば顧客データ、社内システム、従業員情報など)に対して脅威脆弱性を考慮し、「発生可能性 × 影響度=リスクスコア」を算出します。

  • 脅威(Threat): ハッキング、マルウェア、内部不正、自然災害など、資産を侵害する要因。

  • 脆弱性(Vulnerability): パスワード管理の不備や権限設定ミスなど、脅威が成功しやすくなる弱点。

  • スコアリング: たとえば5段階評価を掛け合わせて点数化し、リスクを“低・中・高”の優先度で分類。

2.2 ISMS導入で得られるメリット:コスト削減・ブランド強化・事故回避

  • コスト削減: セキュリティ事故が起きた場合の賠償金や事故対応コストを大幅に低減できる。

  • ブランド強化: 外部から「この組織はしっかり情報管理している」と評価され、取引先との信頼度がアップ。

  • 事故回避: リスクが見える化することで、予算や人員を優先的に配分し、重大インシデントを防ぎやすくなる。

2.3 海外規格(ISO27001)とのリンク:附属書Aの管理策との関係

  • ISO27001認証: リスクアセスメントで特定したリスクに応じて、付属書Aから適切な対策を選択し、SoA(適用宣言書)で管理策の採否を明確化。

  • コンサル視点: リスクアセスメント結果がいい加減だと、外部審査(ステージ2など)で“整合性がない”と指摘されやすいので、丁寧に評価するのが重要。


 

3. リスクアセスメントのやり方:初心者が押さえる5ステップ

3.1 ステップ①:情報資産の洗い出しと分類

  • 洗い出し: 顧客データベース、開発コード、財務システム、紙の顧客リスト、携帯端末などすべて列挙。

  • 分類: 機密度、重要度、保管先などで整理し、管理責任者を明確にする。

  • コンサル経験談: 「紙資料を見落としていた」「クラウド系ツールは対象外にしていた」など後から漏れが発覚しやすいので、部署ごとにヒアリングが必須。

3.2 ステップ②:脅威と脆弱性をリストアップ(ヒト・技術・物理など)

  • 脅威リスト例: 社員の意識不足(パスワード使い回し)、外部攻撃(ランサムウェア)、物理侵入(オフィスへの不正来訪)など。

  • 脆弱性リスト例: OSやソフトのアップデート未実施、権限管理が甘い、バックアップ運用不備など。

  • ヒント: ISO27001の附属書AやJIS Q 27001のガイドを参考にすると、抜け漏れを防ぎやすい。

3.3 ステップ③:発生可能性と影響度でリスクを数値化

  • スコアリング: 発生可能性を1~5段階、影響度を1~5段階で評価→掛け合わせてリスクレベル(1~25)。

  • 優先度設定: スコアが高い=最優先で対策。スコアが低いものは現状維持(受容)するか予算に余裕ができたら後回しに。

  • 実務例: Excel表や専用ツールを使い、部署ごとにリスクをレビューし最終的に一元化。

3.4 ステップ④:リスク対応方針の決定(受容・回避・移転・低減)

  • 4つの基本戦略:

    1. 受容: リスクが小さい場合、あえて対策を打たずに受け入れる。

    2. 回避: 業務プロセス自体をやめる・システムを使わないなどでリスクを消失させる。

    3. 移転: 保険に加入したり、外注で責任を分散させたりする。

    4. 低減: システム上の対策や社員教育でリスクを下げる。

  • 附属Aとの連携: 低減策を選ぶ場合、ISO27001の管理策を参考にし、不採用理由があれば適用宣言書に記載。

3.5 ステップ⑤:結果をSoA(適用宣言書)やリスク対応計画に反映

  • 適用宣言書(SoA:Statement of Applicability): どの管理策を採用/不採用にするか、リスクアセスメント結果を踏まえて明文化。

  • リスク対応計画: 誰がいつまでに何をやるか、対策をスケジュール化し、定期的に進捗確認。


 

4. 実例付き!リスク評価と対策策定の具体的プロセス

4.1 事例①:中小IT企業のリスク洗い出し→クラウド利用時の脅威対策

  • 洗い出し: 顧客データやソースコードをクラウドに保管しているが、パスワード共有や多要素認証未導入が発覚。

  • リスク評価: 発生可能性は4(高い)、影響度は5(非常に高い)→リスクスコア20。

  • 対策: 多要素認証(2FA)の導入、クラウド管理権限をITチームだけに限定、定期的にパスワード変更ルールを義務化。

4.2 事例②:製造業の生産ラインにおけるSCADAシステムのリスク評価

  • SCADAシステム: 生産制御を行うリアルタイムシステムで一度不正侵入されるとライン停止リスクが大。

  • 脅威: 外部攻撃(産業用IoTへのマルウェア)、内部不正(職場からUSB接続)、停電など。

  • 対応策: 物理的隔離を一部導入、アプリケーションホワイトリスト化、UPS(無停電電源装置)で停電対策+BCP検討。

4.3 対策策定:暗号化・物理入退室管理・アクセス権限の最適化など具体例を紹介

  • 暗号化: 社員PCのHDD暗号化やメール暗号化を徹底し、紛失リスク軽減。

  • 物理入退室管理: ICカードを使用し、データセンターやサーバールームへのアクセスを権限者限定。

  • アクセス権限最適化: 必要最小限のアクセス権(ダウンロード不可、編集不可など)を付与し、ログ監査で追跡可能にする。


ISMSリスクアセスメントを実例付きでわかりやすく!2025年以降のリスク評価とISO27001対策を徹底ガイドし、セキュリティ強化と業務効率を同時に実現

 

5. 成功事例から学ぶ:リスクアセスメントを活かしたISMS構築のポイント

5.1 スモールスタートで短期間導入→大手取引先要件をクリアしたIT企業

  • 背景: 従業員30名のITベンチャーが大手顧客との契約条件としてISMS運用&ISO27001取得を要求される。

  • リスクアセスメント活用: まず開発部門と管理部門のみスコープを限定→リスク評価を短期集中で行い、対策を数か月で完了。

  • 成果: 規定期間内にステージ2審査まで合格し、契約を獲得。売上1.2倍に。

5.2 部署横断型チームを編成し、継続的にリスク表を更新する製造業

  • 取り組み: 工場(製造部門)、物流部門、IT部門など横断チームを作り、月1回リスク点検会を実施。

  • 結果: インシデント件数が1年で半減し、ISMS認証更新審査でもほとんど不適合なし。

5.3 社内教育や啓発活動を加速し、インシデント件数を半減させたサービス業

  • 事例: サービス提供企業がフィッシングメール訓練や小テストで社員の意識を高め、リスク評価で“ヒト要因”を大幅に低減。

  • 効果: パスワード使い回しや機密情報の誤送信が激減し、内部からの情報漏えいリスクも大幅ダウン。


 

6. 審査合格を狙う!内部監査と外部審査で見られるリスクアセスメントの要点

6.1 内部監査でのチェック項目:リスク評価表の最新化・管理策の実装状況

  • 内観: ISMS内のリスクアセスメントが最新の状況(脅威・脆弱性の変化など)を反映しているか確認。

  • 管理策実装状況: パスワードポリシーが実際に運用されているか、社員への教育が行き届いているかを調べる。

6.2 第三者審査(ステージ1・ステージ2)でよく指摘されるポイント

  • ステージ1(文書審査): リスク評価表とSoA(適用宣言書)が整合しているか。対策が曖昧だと不備になる。

  • ステージ2(実地審査): 社員インタビューで「このリスクにどう対応していますか?」と質問され、理解不足だと不適合になりがち。

6.3 失敗例:文書と運用の乖離→監査直前に大量修正で追加費用発生

  • よくある失敗: マニュアルやリスクアセスメント表は立派だが、現場で使われていない→審査で大量の不適合指摘。

  • 対策: 形だけでなく現場運用を伴わせる仕組み(教育、定期点検、ドキュメント更新の習慣)が大切。


 

7. よくある疑問Q&A:リスクレベルやSoA作成で戸惑わないために

7.1 「リスク評価の数値化はどう行えばいい?シンプルなスコアリング例」

  • 回答: 発生可能性(1~5)×影響度(1~5)で25段階のリスクスコアを使う例が一般的。大雑把すぎる場合は10段階で細かく評価する企業もある。

  • ポイント: 組織規模や現場のリテラシーに合わせた仕組みにするのがコツ。

7.2 「附属書Aの管理策を全部採用する必要はある?」

  • 回答: すべて採用する必要はない。不採用にする場合はリスクアセスメント結果と照らし合わせ合理的理由をSoA(適用宣言書)に記載する。

  • 不採用理由例: リスクが極めて低い、すでに別手段で対応済みなど。

7.3 「不採用にする管理策の合理的な理由づけとは?」

  • 回答: リスクが低い、コストに見合わない、代替対策で十分カバーできているなどを明確に根拠立てることが重要。外部審査でも納得されやすい。

7.4 「リスクアセスメントの更新頻度は?セキュリティ事故が起きたときは?」

  • 回答: 最低でも年1回。新システム導入や大きな組織変更、インシデント発生時などには追加でリスク評価の更新を行うのがベスト。


 

8. 運用・維持で気をつけること:リスクアセスメントを形骸化させないために

8.1 PDCAサイクルでリスク表を定期的に見直す運用ルール

  • PDCA: リスク評価(Plan)→運用対策(Do)→内部監査・点検(Check)→改善(Act)の繰り返し。

  • 定期見直し: 半年や年1回のペースでリスクスコアや新たな脅威を追加し、最新化する習慣づけが重要。

8.2 経営層の巻き込み:リスク報告会やマネジメントレビューの仕組み

  • 経営層報告: リスク項目のうち特に「高リスク×高影響度」はトップへ優先的に報告してリソースを投入してもらう。

  • 実務例: 大手企業でリスク評価の結果を経営会議で月1回共有、対応策に予算を迅速に割り当て→インシデント激減。

8.3 ログ監査や内部監査との連携:インシデント発生時の対処と再評価

  • ログ監査: システムログやアクセスログを定期チェックし、リスクアセスメント表に反映。

  • インシデント後再評価: 事故が起きた際は原因分析→脆弱性を修正→リスク評価表を更新して再発防止策を明確化。


 

9. 導入費用とコスト対効果:リスクアセスメントがもたらすROI

9.1 審査登録機関費用・コンサル活用費・内部工数の内訳

  • 審査登録機関費: ISO27001認証審査で年30万~100万円程度、小規模企業ならもう少し安価。

  • コンサル費: フルサポート100万~300万円ほど。部分サポートなら50万~100万円。

  • 内部工数: 組織内でリスク評価を実施・更新する担当者が兼務だとリードタイムが延びがち。

9.2 投資回収例:情報漏えいリスク回避による損失防止や大手案件獲得

  • 損失防止: 1度の情報漏えいで数千万円クラスの賠償やブランド損失が起こり得るが、リスク評価で顕在化させ対策することで回避。

  • 収益拡大: 大手顧客や官公庁取引でのセキュリティ要件を満たし、新規プロジェクトを獲得しやすくなる。

9.3 クラウドツールやシステム導入:リスク評価の効率を高めるIT活用事例

  • クラウド型リスク管理ツール: 多拠点で同時編集でき、リスク状況がリアルタイムに可視化。

  • ログ分析システム: AIや機械学習で異常検知を早期発見→リスク評価を素早く更新し、対策を即実施。


 

10. まとめ:ISMSリスクアセスメントを成功させ、2025年以降のセキュリティ強化を実現しよう

10.1 本記事のおさらい:評価ステップ・実例・運用の秘訣

  1. 基本ステップ: 情報資産洗い出し→脅威・脆弱性の特定→リスクスコア化→対応策決定→SoA反映。

  2. 実例: IT企業や製造業などの成功事例から「部分サポート」「現場主体」が有効。

  3. 運用の秘訣: PDCAを継続し、形骸化を防ぐ社内教育と経営層のコミットが欠かせない。

10.2 今すぐ取り組むべきアクション:リスク洗い出しと社内周知、経営層との連携

  • リスク洗い出し: Excelテンプレやクラウドツールを活用してまずは情報資産をリスト化。

  • 周知活動: リスク評価方針や基本対策を全社員に共有し、フィードバックを得る。

  • 経営層連携: リスク報告会やマネジメントレビューで予算・リソースを確保し、実効性を高める。

10.3 リスクアセスメントがISMS全体を支え、企業の競争力と信頼度を高める

最終メッセージ: ISMSのリスクアセスメントはセキュリティ管理の土台であり、企業規模にかかわらず導入メリットが大きい。2025年以降、DXがさらに進む中で高度な脅威に備えるためにも、今のうちにリスクアセスメントをしっかり行い、継続運用することで事故リスクを最小化し、ビジネスの信頼を高めていくことが不可欠です。ぜひ本ガイドを参考に、リスク評価と対策を実践してみてください。

ISMSリスクアセスメントを実例付きでわかりやすく!2025年以降のリスク評価とISO27001対策を徹底ガイドし、セキュリティ強化と業務効率を同時に実現

この記事の監修者情報

金光壮太 (ISOコンサルタント)

大手商社にて営業を経験した後、ISOコンサルティングに従事。ISO9001、14001、27001を中心に、各業界の課題や特性に応じたシステム構築や運用支援を行い、企業の業務効率化や信頼性向上に貢献。製造業や建設業など、多岐にわたる業界での豊富な経験を活かし、お客様のニーズに応じた柔軟なソリューションの提案を得意としている。



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