初心者必見!ISO9001の品質方針とは?作り方と具体例をわかりやすく徹底解説!
- 【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
- 1 日前
- 読了時間: 9分

▼ 目次
1. はじめに
1.1. 本記事の目的と想定読者
ISO9001を導入・運用するうえで、品質方針は企業の品質活動を方向づける大切な土台です。ところが、「どのように作ればいいの?」「具体例を見たい!」と悩む初心者の方は多いでしょう。品質方針が形だけになり、現場では誰も意識していない… というケースもよくあります。
本記事の目的
ISO9001で求められる品質方針の“意味”と“作り方”をわかりやすく解説
実務で活かすための具体例や失敗しないためのポイントを紹介
他社事例を交え、形骸化しない方針の運用ノウハウを学べる
想定読者
品質方針をどう書けばいいのかわからない初心者・品質担当者
これからISO9001認証を取得したいが、審査で指摘されない方針づくりを知りたい管理責任者
社員のモチベーションを高め、実務に直結した方針を掲げたい経営者
1.2. 品質方針がISO9001で求められる理由
ISO9001の2015年版では、リーダーシップ(5章)やリスクベース思考が重要視されます。その中で品質方針は、企業のトップが品質に関する基本姿勢や優先事項を明確に示す文書であり、**全社員が同じ方向に向かうための“合言葉”**として機能します。
初心者向け用語解説
品質方針: 組織の品質に対する最上位の考え方や方針。簡単に言うと“品質について何を目指すか”を宣言するもの。
品質目標: その方針を実現するための具体的な数値や達成基準。
リスクベース思考: 企業が抱えるリスクと機会を見極めながら運用する考え方→ 方針にもリスク視点を取り入れる。
本記事のゴール: 品質方針が“書くだけ”で終わるのではなく、社員が日常業務で役立て、審査でも好評価を得られる運用に結びつけることです。
2. ISO9001の品質方針とは?基本概念と重要性
2.1. 品質方針って何?
品質方針は、会社全体で「どのような品質を実現するか」「どのように顧客に貢献するか」を大枠で示すもの。
例: 「お客様の期待を超える製品を迅速に提供する」「全社員で継続的改善を実践し、業界最高水準の品質を目指す」など。
コンサル視点: 品質方針があいまいだと、現場が“何をどう頑張ればいいか”わからず、形骸化に陥りやすい。
2.2. ISO9001:2015での品質方針の位置づけ
5章 リーダーシップの中で、トップマネジメントが品質方針を示し、組織の方向性や品質目標とつながることが強調されている。
他社事例(製造業A社): 経営ビジョンと品質方針を整合させた結果、社員から「会社の方向がわかりやすい」「目指す品質レベルが明確」と高評価を得る→ 審査でも好印象
2.3. 形骸化を防ぐためのポイント
具体的な行動指針や目標数値とリンクする→ “何のために”“誰が何をするか”まで踏み込む
失敗例: 「常に高い品質を目指す」だけの標語→ 誰も自分の業務に結びつけられない→ 運用に役立たない
3. 品質方針と品質目標の違い:初心者が混同しやすいポイント
3.1. 品質方針=大枠の方向性、品質目標=具体的な数値
品質方針: “顧客満足を最優先し、高品質かつ適正コストで提供する”などの組織の大きな指針
品質目標: その方針を達成するために部門や工程ごとに設定する測定可能な目標(不良率x%以下、クレーム件数x%減など)
3.2. 連動させることで運用しやすくなる
例: 方針「お客様の満足度を高める」→ 目標「1年でクレーム件数を30%減」「顧客アンケート満足度80%以上」
コンサル視点: 方針が抽象的だと現場行動につながりにくい→ 数値目標で“何をやればいいか”が明確になる
4. 品質方針の作り方:初心者向けステップ
4.1. ステップ1:経営ビジョンと整合性を取る
経営者が考える将来像(業界No.1、顧客満足トップなど)とリンクさせ、品質方針も同じ方向を示す
事例(製造業B社): 経営理念「常に世界水準の技術を追求」→ 品質方針も“グローバル基準の製品精度を確保”と噛み合わせ
4.2. ステップ2:リスクと機会の視点を取り入れる
2015版ISO9001はリスクベース思考が必須→ 組織が直面する品質リスクやビジネス機会を方針に反映
例: サプライヤーリスクが大→ “厳格な仕入先選定と評価を通じて品質安定を図る”と方針に盛り込む
4.3. ステップ3:従業員が理解・共感できる言葉を選ぶ
難解な専門用語より行動イメージが湧く表現を使う
コンサル経験: 「“真心を込めたサービス”のように抽象度が高いだけだと行動指針が曖昧→ “問い合わせ対応速度を向上し、顧客満足度を高める”など具体的な方針が好ましい」
4.4. ステップ4:品質目標につなげる仕組みを設計
方針を実現するため各部門の品質目標を設定→ “製造部は不良率×%”“営業部はクレーム対応時間×%短縮”など
他社事例(サービス業C社): 「顧客満足を最優先」→ 部門ごとに顧客CSアンケートスコア90点以上、クレーム数10件以内など目標化
4.5. ステップ5:社内周知と定期レビュー
周知方法: 朝礼やイントラ、ポスター掲示→ 全員がいつでも見られる形に
レビュー: 年1回程度で方針が現状に合っているか見直す→ 新規事業や技術変化も反映
成功例: 製造業D社で月1回の部門会議で“方針達成度”を確認→ 社員が常に意識し、改善が回る
5. 品質方針の具体例:業種別サンプル
5.1. 製造業:高精度・不良削減を重視した方針
例: 「最先端の技術力と徹底した工程管理で、高精度かつ不良率を最小限に抑え、世界水準の品質を実現する」
目標例: 不良率0.5%以下、顧客クレームゼロなど
5.2. サービス業:顧客対応と迅速な改善を強調
例: 「顧客の声を最優先に、迅速な問題解決とサービス改善を常に行い、満足度向上を追求する」
コンサル視点: 具体的に対応速度(◯時間以内)やアンケート評価(◯点以上)を数値化すると社員が動きやすい
5.3. IT/ソフトウェア業界:リリース品質・障害対応を重視
例: 「革新的機能と安定稼働を両立し、障害対応の迅速化と継続的アップデート品質向上を図る」
効果: バージョンごとのバグ発生率や障害対応平均時間を目標化しやすい
6. よくある失敗と対策
6.1. 抽象的な文言だけで具体性が無い
失敗例: 「顧客満足を最大化する」など曖昧で、現場が何をすべきかわからない
対策: 行動や測定指標をセットに→ “顧客アンケートで満足度85%以上達成”など
6.2. 経営トップが作って終わり→ 社員に伝わらない
状況: 品質方針がポスターに書いてあるだけで、だれも読まない
コンサル経験: ある製造業E社で社長作成の方針が難解→ 再作成時に現場リーダーも参加し、理解度UP
6.3. 定期レビューが無く、時代遅れの方針に
例: 新技術や顧客ニーズ変化があっても方針を更新せず→ 現場がズレを感じ形骸化
対策: 年1回のマネジメントレビューで“今の方針は現状に合うか?”を議論、必要なら改訂
7. 運用で形骸化を防ぐコツ
7.1. 経営層・管理責任者の本気度
理由: トップがリーダーシップを持って、“方針のために必要なリソースは惜しまない”姿勢を示す→ 現場が動きやすい
他社事例: 製造業F社の社長が品質会議に定期参加→ 社員も「方針が社長の本気度」として捉えモチベUP
7.2. 内部監査でのモニタリング
質問例: 「方針達成のために部門が何をしている? 目標に対する進捗は?」
メリット: 監査で“実際に社員が方針を把握しているか”を確認→ 抽象スローガンで終わらない
7.3. 成果を見える化して社内共有
やり方: 目標達成率やクレーム削減率をグラフ化→ 社員が“方針が実務に影響している”と実感
コンサルTIP: 成果が出れば方針への信頼度が高まり、さらに改善のモチベが上がる好循環
8. まとめ:初心者必見!ISO9001の品質方針とは?作り方と具体例をわかりやすく徹底解説
8.1. 記事の総括:ポイントの再確認
品質方針の意味: 組織が品質で何を目指すか、社員が同じ方向を見るための指針
作り方ステップ: (1)経営ビジョンと整合 (2)リスク・機会反映 (3)分かりやすい文言 (4)数値目標連動 (5)周知&レビュー
具体例: 製造・サービス・ITなど業種別のサンプル→ 自社に合う形へカスタマイズ
よくある失敗: 抽象的で行動に繋がらない、トップだけ作って現場無視、レビュー無しで陳腐化
形骸化防止策: 経営層のコミット、内部監査で確認、成果を見える化して社員が達成感を得られる仕組み
8.2. 今後のアクション:初心者が取り組むべきステップ
経営トップや管理責任者と面談: 会社全体のビジョン・戦略を把握
品質方針ドラフト作成→ 部門ヒアリング: 現場の実情やリスクを踏まえ、文言調整
品質目標設定: 方針を具体的行動につなげる→ 各部門でKPIを決定
社内周知& 形骸化防止策: 朝礼、掲示板、イントラ活用+ 定期レビュー
内部監査と連動: 方針が現場に浸透しているか、成果が出ているかを年1回はチェック
あとがき
ISO9001における品質方針は、企業の品質活動をリードする重要な羅針盤です。本記事で紹介した作り方のステップと具体例を参考に、組織のビジョンやリスク・機会を盛り込みながら、社員が共感できるわかりやすい言葉でまとめてみてください。その際、品質目標とのつながりをはっきりさせれば、毎日の業務改善やクレーム削減などに直結させることができます。さらに、内部監査や経営レビューで定期的に見直し、形骸化を防げば、ISO審査でも高い評価を得られ、企業の信頼度と顧客満足度が同時に向上していくはずです。ぜひ今回のポイントを活かし、強い品質方針を掲げて運用してみてください。
この記事の監修者情報
金光壮太 (ISOコンサルタント)
大手商社にて営業を経験した後、ISOコンサルティングに従事。ISO9001、14001、27001を中心に、各業界の課題や特性に応じたシステム構築や運用支援を行い、企業の業務効率化や信頼性向上に貢献。製造業や建設業など、多岐にわたる業界での豊富な経験を活かし、お客様のニーズに応じた柔軟なソリューションの提案を得意としている
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