ISO9001 コミュニケーションとは?具体例とわかりやすい運用ポイントで形骸化を防ぐ!
- 【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
- 3 分前
- 読了時間: 9分

▼ 目次
1. はじめに
1.1. 本記事の目的と想定読者
ISO9001を導入・運用するうえでよく耳にするのが「コミュニケーションの重要性」。しかし、「コミュニケーションって具体的に何をすればいいの?」と疑問を持つ初心者は多いです。本記事では、ISO9001が求めるコミュニケーションの本質をわかりやすく解説し、実際に品質向上につなげる運用のコツや具体例を紹介します。組織内外での情報共有を強化し、クレーム低減や業務効率アップを狙いたい担当者や管理者に向けた内容です。
本記事の目的:
ISO9001で定義される“コミュニケーション”の概要や意義を初心者でも理解できる
具体例を通じて、形骸化を防ぎながら実務で使える運用ポイントを学べる
コンサル経験・他社事例を参考に、実践的なヒントを得られ、外部審査でも評価されやすい体制を築ける
想定読者:
ISO9001導入を考えているが、“コミュニケーションの規定”がよくわからない初心者
形だけの報連相に留まってしまい、改善効果が薄いと悩んでいる品質担当者
部署間・顧客・サプライヤーとの情報連携を強化し、クレームやミスを減らしたい管理責任者
1.2. ISO9001が求める“コミュニケーション”とは?
ISO9001:2015では、「組織が必要とする情報を、必要とする人や部署・ステークホルダーへ正しく伝える仕組み」を重視
具体的には、誰が・何を・いつ・どのように伝達するかを明確化→ 誤解や情報ロスを防ぐ
初心者向け用語解説:
ステークホルダー: 顧客や仕入先、従業員、規制当局など、組織の品質に影響する関係者
内部コミュニケーション: 部署間連携、経営者と現場の意志疎通など
外部コミュニケーション: 顧客への情報提供やサプライヤーとの品質要求共有
1.3. この記事で得られるメリット
コミュニケーションが品質にどう影響するか、実務的な視点で把握できる
具体例で運用のイメージが掴め、部署間や顧客との連携強化に役立つ
コンサル視点のノウハウを活かし、審査でも高評価を得られる体制づくりが可能になる
2. ISO9001におけるコミュニケーション要求:ポイントをおさらい
2.1. 規格文でのコミュニケーションの扱い
ISO9001では「7章 支援」の中で、組織が内部・外部の情報をどのように扱うか明示
目的: 情報を正確・適切なタイミングで伝える→ 品質に関わる業務がスムーズに進む
コンサルTIP: 曖昧な担当や手段だと、必要情報が届かず不適合やクレームに発展する例が多い
2.2. 内部・外部コミュニケーションの違い
内部: 経営層→現場、部門間連携、作業指示や改善報告など
外部: 顧客への納期・仕様連絡、仕入先への品質要求、規制当局への報告など
ポイント: 双方向が基本→ 一方的な通知だけでなく、相手からのフィードバックを得てこそ真の情報共有
2.3. 形骸化のリスク
“メール一斉送信で終わり” “朝礼で軽く言うだけ”→ 実際に伝わっていないor 忘れられる
他社事例: 伝達漏れで製品仕様の変更を現場が知らず不良多発→ 顧客クレーム&再工事費用増
3. なぜコミュニケーションが品質向上に直結するのか?
3.1. 誤解や情報不足が不良・クレームの温床になる
例: 新しい顧客要求を営業だけが把握→ 設計や生産が知らない→ 不適合品発生
メリット: 共有ルートを整えると誤差が減少し、不具合が大幅減やクレーム対応がスピードUP
3.2. 部門間連携が早期発見・迅速対応を可能にする
チーム内だけでは対応困難でも、他部署の知見やサポートで即解決→ 大きな問題化を防げる
コンサル視点: 部署ごとに情報が閉じる“サイロ化”が多い企業は、内部の重複作業や見落としで苦労している
3.3. 経営者の方針や品質目標を周知する効果
トップの意志や組織の大きな方向性が伝わらない→ 部門・現場が勝手に動き、品質目標のブレが発生
事例(製造業A社): 毎週の品質会議で社長が目標と問題点を共有→ 現場意識統一&不良率30%減
4. 具体例:実際のコミュニケーション運用シーン
4.1. 製造業:朝礼や巡回ミーティングの活用
例: 毎朝10分の朝礼で前日の不具合や生産計画を共有、担当リーダーが日中に現場巡回→ 問題吸い上げ
成功例: 気軽に相談しやすい雰囲気ができ、不良対応が1日以内に完了→ クレーム激減
コンサルTIP: ただの当番報告会で終わると効果薄→ “前日の不具合数”や“当日注意点”を具体的に話す
4.2. IT企業:プロジェクト管理ツール・チャットでリアルタイム共有
状況: 開発メンバーがリモートor 拠点分散→ 進捗や仕様変更をチャット・オンライン会議で即共有
成果: バグや顧客要望の変更を早期キャッチ→ 納期遅延が大幅削減
注意: ツール導入だけでなく、更新頻度やルールを明示→ “誰がどんな情報を何時までに更新するか”
4.3. サービス業:顧客クレーム対応フローの共有
例: “クレーム発生→ 迅速に担当マネージャーへ連絡→ 社内チャットで関連部署と議論→ 解決策をお客様に提示”
メリット: どの担当が不在でも対応フローが標準化→ 対応ブレを減らし、顧客満足UP
失敗回避: フローだけ作って満足せず、スタッフへの周知・教育を徹底
5. わかりやすい運用ポイント:形骸化を防ぐコツ
5.1. “誰に何をどのように伝えるか”を明確化する
書き方: “顧客要件変更→ 営業→(1営業日内)→ 設計部長→(24時間以内)→ 製造リーダー…”などプロセスを定義
成功例(製造業B社): “顧客からの変更依頼は即品質課へ連絡→ 品質課が現場へ指示”と明文化→ 再発ミス激減
5.2. コミュニケーション手段を多様化し、重複を整理
メール、チャット、会議、電話など→ 適材適所で使い分け、同じ情報を何度も送る混乱を防ぐ
メリット: 社内ポータルや電子承認システムなど一元管理をすると、最新情報がどこにあるか迷わず済む
5.3. 内部監査やマネジメントレビューでチェックする
内部監査: “情報共有ルールが実際に運用されているか?” “現場や顧客への連絡は適切か?”
経営レビュー: 重大な品質問題やクレームをトップが把握し即投資を決断→ 対策加速
コンサル視点: 定期点検が無いと“メール送って終わり”状態が続く→ 形骸化しやすい
6. よくある失敗パターン:コミュニケーションがうまくいかない例
6.1. 情報が一方向だけで完結し、フィードバックが無い
例: 本社が現場へ手順変更をメール→ 返信や確認なし→ 現場は従来通り作業→ 不良発生
コンサルTIP: 必ず“受領確認”や会議でのダブルチェックを仕組みにする
6.2. 経営層や管理職が関与せず、現場頼み
問題: 大きな意思決定が必要でも現場だけで抱えきれず→ 対応が遅れ不適合増
事例(IT企業C社): 規模の大きいプロジェクトでトップがコミュニケーションに入らず、納期遅延→ クレーム続発
6.3. 文書or口頭だけで済ませ、適切な記録が無い
結果: “言った言わない”トラブル→ 審査でも“エビデンスがない”と低評価
解決: 会議録を残す、要点を議事メモに書いて共有フォルダに保存
7. コンサル視点:実務で成果を出すコミュニケーション運用
7.1. 経営レビューと部門会議を連動させる
ステップ: (1)部門会議で現場課題を整理 (2)経営レビューでトップが投資や方針を迅速決定 (3)結果を現場にフィードバック
メリット: 下からの提案が即経営判断につながり、社内全体での問題解決が早まる
7.2. リスクベース思考に基づく情報共有
例: “顧客の要求変更リスク”“仕入先の品質リスク”などを事前に洗い出し→ 発生時の連絡先や対応手順を決めておく
コンサルTIP: Plan段階でコミュニケーション計画→ Doで実践→ Checkで効果確認→ Actで改良
7.3. 内外ステークホルダーとの適切な連携
外部: 顧客や供給者とのやり取りで仕様変更や納期の報告ルールを確立
内部: 部門間連携、上長承認、経営層への報告など→ 誰が鍵情報を持ち、どう共有するか
事例(製造業D社): 供給者との不具合情報をリアルタイム共有→ 不良発生率を短期で激減
8. まとめ:ISO9001 コミュニケーションとは?具体例とわかりやすい運用ポイントで形骸化を防ぐ
8.1. 記事の総括:ポイントの再確認
ISO9001が求めるコミュニケーションの重要性: 情報不足や誤解が不適合やクレーム拡大の要因→ 適切な情報伝達ルールが必須
内部・外部連携の具体例: 朝礼やチャットツール、クレーム対応フローなど→ 組織に合わせた仕組みづくり
形骸化防止: (1)誰に・何を・どの手段で (2)ツール・ルールを整備 (3)内部監査・レビューで定期確認
成功事例: 部門会議やトップの積極関与で情報を素早く全社共有→ クレーム・コスト大幅減
コンサル視点: コミュニケーションは双方向が肝→ 受発信のルートと責任を明確化
8.2. 今後のアクション:初心者が取り組むべきステップ
現状のコミュニケーション経路を可視化: 誰がどの情報を持ち、誰にどう伝えているか洗い出し
運用ルール策定: “要件変更時は営業→設計→生産へ○日以内に通知”など具体化
内部監査強化: 定期的にチェックし、ルールが守られているか・効果があるかを検証
形骸化防止: 必要ならITツール導入や会議体系の見直し、部門連携強化→ PDCAで継続改善
あとがき
ISO9001における“コミュニケーション”は、品質管理を円滑に動かす血流のような存在です。形だけの報連相ではなく、“誰がいつ・どの情報を・どう伝えるか”をはっきりさせ、相手からの反応や承認までを仕組み化することで、ミスやクレームを最小限に抑えられます。本記事で示した具体例やコンサル経験を参考に、経営層と現場、部門間、そして外部ステークホルダーとの情報共有ルートを最適化してみてください。内部監査やマネジメントレビューを通じて定期的にチェックし、改善のサイクルを回せば、クレーム削減・納期遅延減・顧客満足度UPなど多方面で大きな成果が期待でき、ISO9001審査でも評価される組織体質を築けるでしょう。
この記事の監修者情報
金光壮太 (ISOコンサルタント)
大手商社にて営業を経験した後、ISOコンサルティングに従事。ISO9001、14001、27001を中心に、各業界の課題や特性に応じたシステム構築や運用支援を行い、企業の業務効率化や信頼性向上に貢献。製造業や建設業など、多岐にわたる業界での豊富な経験を活かし、お客様のニーズに応じた柔軟なソリューションの提案を得意としている
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