ISO9001の認証機関とは?審査機関との違いと、初心者が知るべき選定ポイントを解説!
- 【監修者】金光壮太(ISOトラストのコンサルタント)
- 7 日前
- 読了時間: 9分

▼ 目次
1. はじめに
1.1. 本記事の目的と想定読者
ISO9001を導入または検討している企業の多くが、「どの認証機関(審査機関)を選べばいいのか?」「そもそも認証機関と審査機関は何が違うのか?」という疑問を持ちます。本記事では、認証機関と審査機関の役割を初心者向けに分かりやすく整理し、選定ポイントやメリット・注意点を紹介していきます。
この記事の目的:
ISO9001認証取得に欠かせない「認証機関・審査機関」の違いを理解する
実際に審査をお願いする際、何を基準に選べばいいか明確にする
コンサル経験・他社事例を踏まえ、形骸化を防ぎ成果が出る導入を目指す
想定読者:
初めてISO9001導入・運用に取り組む企業の担当者
審査や費用、専門分野などの情報を集め、経営層へ説明したい管理責任者
“どの機関を選べば合格率やメリットが高いか”悩む経営者や品質管理リーダー
1.2. そもそもISO9001とは?簡単なおさらい
ISO9001: 品質マネジメントシステム(QMS)の国際規格で、顧客満足や不良削減、業務効率向上などの効果を得られる仕組み
認証取得のメリット: 顧客・取引先からの信頼度アップ、クレーム対応力向上、内部監査を通じた継続的改善
初心者向け用語解説:
QMS: 組織が品質を管理・改善するためのルールや体制
内部監査: 社内で行う自主チェック
外部審査: 認証機関による正式なチェック→ 合格すれば認証書発行
1.3. この記事で得られるメリット
認証機関と審査機関の違いを正しく理解し、外部審査をどこに頼めばいいかの指針を得られる
選定ポイント(費用、専門性、予約状況など)を把握し、時間やコストを無駄にしない
コンサル経験や他社事例を踏まえ、認証取得後の運用維持を形骸化させず、成果に結びつけるヒントを得られる
2. ISO9001認証機関とは?審査機関との違い
2.1. 認証機関の定義と役割
認証機関: ISO9001に沿った品質マネジメントの適合性を評価し、“認証書”を発行する第三者
特徴: 公正・独立した立場で企業を審査し、合格なら「ISO9001認証企業」として登録
コンサルTIP: 機関によって得意業種や対応地域、審査スタイルが異なる→ 合う機関を選ぶことが合格率や運用のしやすさに直結
2.2. 審査機関との混同しやすいポイント
呼び方の違い:
認証機関が審査を行い認証書を出す→ その審査行為を行う組織を審査機関と呼ぶ場合も
実質的には多くの企業が“認証機関=審査機関”と混同して使っている
ISO9001審査の実態: Stage1(文書審査)→ Stage2(現場審査)→ 合格なら認証書発行という流れ
他社事例(製造業A社): “審査機関”と契約したが、同組織が“認証書も発行”→ 結果的に一社で完結
2.3. 公的な承認を受けた認証機関(認定機関との関係)
認定機関(JABなど): 認証機関を認定する上位組織。各国に1つ以上存在
IAF(国際認定フォーラム): 各国の認定機関が加盟→ 国際的な互換性
ポイント: “認証機関がきちんと認定されている”かを確認しないと、海外取引などで通用しない認証となる可能性も
3. なぜ違いを知ることが重要か?
3.1. 費用・審査スタイル・得意分野が異なる
費用面: 初回審査・サーベイランス(年1回)・更新審査(3年ごと)の費用見積もりに差がある
業種特化: 例えば、ITや医療・製造などの専門知識を豊富に持つ審査員が多い機関
コンサルTIP: 見積比較だけでなく審査員の実績や業界経験を聞いておくと、指摘が建設的で運用しやすくなる
3.2. 内部監査から外部審査へ連携しやすい
認証機関を選ぶと、その機関が年1回のサーベイランス審査、3年ごとの更新審査を担当→ 長期的な関係になる
メリット: コミュニケーションが取りやすいと改善もスムーズ→ 「この問題は次回までに直しておくとよい」などアドバイスを得やすい
他社事例(サービス業B社): 内部監査指摘と外部審査指摘を連動→ 1年以内に不適合が激減し、合格ラインをクリア
3.3. 経営層への説得材料
導入検討での合意形成: 費用、専門性、審査期間などをまとめ、経営層にプレゼンすると決定が早い
形骸化防止: “認証を取る”だけで終わらず、長期的に改善が続く仕組みを組むには、相性がいい認証機関を選ぶのが大切
4. 初心者が知るべき選定ポイント
4.1. 費用・コスト構造の把握
内訳: 初回審査(Stage1+Stage2)費用、サーベイランス費用(年1回)、更新審査費用(3年ごと)
影響要素: 社員数・拠点数・範囲の広さで見積金額が増減
他社事例: 製造業C社(100人規模×1拠点)で初回審査費用○○万円~、サーベイランス○○万円/年→ 2社比較で総費用が2~3割異なるケース
4.2. 審査員の専門性・業種知識
IT・製造・医療など: 自社業界に詳しい審査員が多い機関だと、ヒアリングがスムーズで指摘内容も具体的
失敗回避: 業界知識がない審査員だと誤解や不必要な指摘が増えてストレスに→ 合格まで時間がかかる
コンサルTIP: 見積段階で「◯◯業界の審査経験は?」と質問するとよい
4.3. 審査日程・柔軟性
予約状況: 大手認証機関は人気で日程が埋まりやすい→ 半年前から問い合わせ推奨
企業の都合: “新工場稼働前に認証が欲しい”など期限がある場合、スケジュール調整が大切
他社事例(IT企業D社): 繁忙期と重なり大手は予約不可→ 中堅機関を選び短期間で合格→ 結果オーライ
4.4. アフターサポートやコミュニケーション
サーベイランス審査時のフォロー: 指摘事項や追加質問への対応が丁寧か、メールや電話サポートがあるか
コンサル視点: 認証機関は“監査だけする”方針が多いが、一部機関は疑問に回答してくれたりセミナーを開催している場合も
メリット: 長期的な関係を築き、更新審査も不安なく迎えられる
5. 認証機関(審査機関)を選ぶ流れ:実務ステップ
5.1. 自社のニーズ・優先事項を整理
業種特化or費用重視orスケジュール優先など: なにを最重視するかプロジェクトチームで決定
事例: 製造業E社は“費用<業界経験”を重視→ 製造業に強い審査員を多数抱える機関を選択→ ストレス少ない合格
5.2. 見積や情報収集(2~3社の認証機関)
問い合わせ項目: 費用・審査日数・過去の審査実績・サポート体制など
注意: 単純な費用比較だけでなく、合格後の更新費用やサーベイランス費用、専門性を含め総合評価
コンサルTIP: 実際に面談や説明会に参加し“相性”を確かめるのもおすすめ
5.3. 経営層への提案・最終決定
費用対効果: クレーム減、不良率削減によるコストメリット、取引拡大を可視化
合意形成: 経営層が“ISO9001認証取得”の意義を理解していればスムーズ→ 運用のサポートも受けやすい
形骸化防止: 選定後も定期的に進捗報告し、疑問点を認証機関に質問→ PDCAを充実させる
6. Q&A:認証機関・審査機関に関する初心者向け疑問
6.1. 「認証機関と審査機関、何が本当に違うの?」
回答: 「審査機関」は審査業務を行う組織、「認証機関」は認証書を発行する権限を持つ組織。実質的には同じ場合も多く、企業によって呼び方が違うだけ
注意: “認定機関”はまた別で、認証機関を認定する上位組織(日本ではJABなど)
6.2. 「安い認証機関を選んでもいいの?」
回答: 必ずしもNGではないが、業種知識やサポートが十分かを確認。安さだけ優先すると、不十分な審査や不必要なやり取りが増えることも
コンサルTIP: 費用・実績・予約状況・審査員の専門性をトータル比較がベスト
6.3. 「審査日数はどれくらい必要?」
回答: 社員数や拠点数に応じて異なる。平均的には初回審査(Stage1+Stage2)で2~5日程度、年1サーベイランスは1~3日
他社例: サービス業F社(200人規模×2拠点)では初回審査に計5日要し、年1回の中間監査に2日程度
6.4. 「不合格になることはあるの?」
回答: 重大不適合がある場合、一度“認証保留”となり是正後に再審査を受けるケースあり
失敗回避: 認証機関とのコミュニケーションを密にし、Stage1で指摘を直しStage2で合格するのが一般的
7. まとめ:ISO9001の認証機関とは?審査機関との違いと、初心者が知るべき選定ポイントを解説!
7.1. 記事の総括:ポイントの再確認
認証機関: ISO9001適合を評価し、合格なら“認証書”を発行。審査業務を担う→ 審査機関と呼ぶ場合も
審査機関との違い: 言葉が異なるだけで、実質は認証業務を行う第三者機関
選定ポイント: (1)費用・コスト構造 (2)審査員の専門性・業種知識 (3)審査日程・柔軟性 (4)アフターサポート
実務ステップ: 自社要件整理→ 2~3社比較→ 経営層決裁→ 内部監査・外部審査で合格
形骸化防止: 維持審査やサーベイランスでPDCAを回し続け、経営層と連携し改革を続ける
7.2. 今後のアクション:初心者が取り組むべきステップ
自社の優先順位を決定: 予算・専門性・予約の取りやすさなど
見積&比較: 2~3社の認証機関に費用や審査員の経験、サポート内容を確認
経営決定: 最終選定し、内部監査~外部審査のスケジュール調整
認証取得後のPDCA: 年1回のサーベイランス審査に向け、常に改善を進める
あとがき
ISO9001認証を取得する際、認証機関(審査機関)をどこに頼むかは合否に加え、その後の運用のしやすさやコストにも大きく影響します。機関によって審査費用や業種特化の専門性、スケジュール柔軟性、アフターサポートなどが微妙に異なるので、自社の状況や工程に合った認証機関を選ぶことが成功への近道です。本記事の選定ポイントとコンサル経験での注意事項を参考に、内部監査との連動や経営層の理解を得ながら、形骸化で終わらず実務で成果が出る導入を目指してください。認証取得はゴールではなくスタート。審査機関と二人三脚で継続的な品質改善を進めることで、顧客満足やコスト削減、従業員モチベーションUPなど数多くのメリットを享受できるでしょう。
この記事の監修者情報
金光壮太 (ISOコンサルタント)
大手商社にて営業を経験した後、ISOコンサルティングに従事。ISO9001、14001、27001を中心に、各業界の課題や特性に応じたシステム構築や運用支援を行い、企業の業務効率化や信頼性向上に貢献。製造業や建設業など、多岐にわたる業界での豊富な経験を活かし、お客様のニーズに応じた柔軟なソリューションの提案を得意としている
Commentaires